【代表者インタビュー】〜八嶋昴旺輝〜Vol.4-2

2021年05月13日

(前回記事 Vol.4-1はこちら…)

 

 地元加賀に戻って使命感を抱き、スポーツを中心に加賀の再興を目指してリオを設立したしょうきさん。50年後のW杯で優勝するためのプロサッカー選手をリオペードラ加賀(以下リオ)から輩出することを最終目標にしたロードマップを策定。逆算していま何をしなければならないか、それを体系立てたビジョンの資料をつくり、サッカー普及、育成、環境整備を行うことを会計事務所に談判し、話が進んでいきました。

チームを作るだけでなく、サッカーコートやインドアのコート、施設を創り、更には地域に寄り添った他分野事業を展開し、次々と地域のハブになるような箱を創っていきます。

「この消滅指定都市の加賀で、前例を創りたい」

 

河地:

ここからリオの物語が始まりますね。ゼロから小さいことじゃなくて、大きいことを掲げてサッカー環境を創るって覚悟がいると思います。なんで取り掛かれたんでしょうか。

 

八嶋:

地元加賀で、まずは前例というか、この消滅指定都市の加賀でできたら、希望になるんじゃないかって。理想も、誰が言うかって大事やし、実績をつくりたい。って思った。

何もなくても、できると思った。大半の人は、できるかなーとかって怖気づいてしまうと思うけど、「できる」と思ってた。根拠のない自信だよね。

 

河地:

「とはいえ」ってのがあるなと思うんですけど。

 

八嶋:

そこはたぶん覚悟。逃げれない状況をつくってるし、やるしかない。やってるうちに不安なんて消えていった。

 

 覚悟を胸に始めたサッカー育成事業。最初に開講したのはキッズスクールで、更には低年齢から一貫させたいとの想いで保育園に巡回活動をし、根を張り広げ続けていきました。今では幼稚園から中学生まででスクール生は500名を超えています。

 

「めっちゃ”違和感”やった」

 

河地:

僕がここにきて驚いたのは、育成方針や子どもへのかかわり方。教えすぎたり、指示で押し付けたり、与えすぎることはない。いい意味で放置。環境は作るけど、自分次第やったり、思考を育てることを重きにおいていると思います。

 

八嶋:

そもそもサッカーは自由なスポーツ。そして足でやることの難しさ、そこから生まれる感動と美しさ。決まりがないなかでの責任、チームワーク。そういうのが詰まってる。

 

河地:

最先端のいいと思ってるサッカー観や心技体、健康のことは教える。あと使うかどうかは選手次第。そうなったのはやっぱり、ブラジルでの経験がそうさせてる部分も多いんですか?またリオは、サッカー選手としてもですが、その後どう羽ばたくかはその人次第だし、リーダーシップを発揮してほしいと耳にします。親御さんが子どもに手取り足取り支えてってのが皆無ですもんね。

 

八嶋:

手取り足取り全部教えたり、押し付けたりするのは完全に判断や思考を奪っちゃう。ブラジルを見て日本帰ってきて少年団を見て、めっちゃ”違和感”やった。でも違和感に感じる人がいないからそうなるんよね。

 

河地:

そうですよね。未だにサッカーのゲームでも、親や指導者があーしろこーしろしかばっかで、怒鳴るチームは多いですよね。

 

八嶋:

サッカーやスポーツの良さをまったく子どもたちに活かせてないなって。サッカー以前から違和感しかなかった。親が弁当とか水分とか全部準備して出して片付けて、子どもは試合だけして帰る。まじで?って思う。サッカーのピッチ内でもそれが起こるわけやから。子どもへの感覚をどう思ってんの?って思う。親に敷かれたレールに乗っていくよね。

 

河地:

一つの選択肢に施すと、違った可能性を閉ざすことになるじゃないですか。それってめっちゃもったいない。

 

八嶋:

自分がもし親ならこうしようってのはあるし、自分の親も、好きにさせてくれた。たぶん、無条件に信じようって思ってくれてたんだと思う。「信用」してないから、あーだこーだ言うのかな。子どもは子ども。個なのに。

 

河地:

守られている…。

 

八嶋:

親の漢字の由来は木に立って見る。昔からあるよね。動物見てたらそうだしね。

だからサッカーでも、子どもが成長していくのを目的とするなら、目先の勝利が主体で教えるスタンスではない。自分自身と向き合えるように、結果として勝てるように。全ては自分次第だから。

そして、サッカーできる幸せや感謝の心、思いやりの心、肝の据わった人間を育成していきたい。

河地:

では、サッカーでどんなリーダーシップある子を育てていきたいですか?

 

八嶋:

ボスじゃなく、リーダーを輩出したい。鞭打ってやらす人ではなく、方向性を示し、導いていく人。「こういうふうな国、世の中をつくろう」とか。こうなったらいいなとかこうしたいって考えて言葉や行動で示していける人。渦に巻かれるのではなく、捲く側になってほしい。

例えばだけど、サッカー界をとか社会を見て、とか。

地方創生やらいろいろ言われてるけど、そういう”人”が出てこないと、変わっていかない。サッカーはそういう人が出てくる一番のツールじゃないかなって思ってる。正しくサッカーを伝えれば、サッカー選手も一つだけど、変えていける人、課題解決できる人、環境からチャンスを見出す人、アイディアが浮かぶ人。アイディアが浮かぶってことはいい状況にいる証拠。アンテナ張ってないと出てこないから。

そして、そのアイディアにも価値があるけど、それをみんなで力合わせて形にできる人。そういうリーダーシップ発揮できる人が出てくる。

 

河地:

アイディアはいろんな行動して感じたりとか、経験、インプットしないと浮かんでこないですよね。アイディアって、課題やおかしい、足りない、から出るモノでしょうか。サッカーでも同じようなことが言えますね。こういうサッカーしたら面白いんじゃないか、勝てるんじゃないか、個人でも今の自分にこんなプレーしたら良くなるんじゃないか、成長するにはっていうふうに。

 

八嶋:

自分を変えるためにとかで、いろんな既にあるノウハウやHowto本とかを読む人いるけど、9割の人が行動に移せない。自分で考えたことじゃないからね。だから自分で考えたアイディアには価値がある。だけど、アイディアだけでは何も状況は変わらないことちゃんと伝えないといけない。子どもらに「今何に困ってる?」って聞いたらぱっと出る。じゃあそのために「何してる?」って聞いたら、行動に移してなかったりする。そこが大切なんじゃないって話をする。アイディアを具現化していくことを、話の中から作っていける。じゃあ次、今こういうふうにしてるけど、実際のプレーでうまくいかないなら「なぜそうなのか」を一緒に考えたりとか考えさせたりとか。こういうのがコーチングになってくると思う。ただティーチングしてやらすんではなくて、引き出して考えさせる。じゃないと主体性は生まれない。で、その過程の中でできたら褒めて評価してあげる。そしたら、自分で考えて行動したら変化が生まれるっていうのを実感できる。っていうのが裏側にあるわけやん。だから、めっちゃ指導者って大事やと思うんよ。会話をしているだけで選手が勝手に、「もっとやらなあかんなー、やってみよう」とかで、リーダーシップが形成されると思う。

 

河地:

これは長いスパンの人生における意思決定と行動においてもそうですね。

八嶋:

大きい小さいにかかわらず、とにかく積み上げていくっていうことが大事だよね。そしたら成長してできることも増えて、やりたいことも見えてくる。

 

河地:

サッカーで例えたら、いろんな幅がある選手、突出してる選手とかが出てくる。個性が伸びる。

 

八嶋:

で、だんだんスキルがついてきたら、なんで自分が勉強してるのかってなった時に、「仲間のために武器を使う」ってなる。そういう人間になっていけば、自然と与える側になっていく。そうなるとリターンや、ありがとうをもらえることになる。自分の肯定感と幸せになる。

 

河地:

幸せに感じるときって、感謝することがあったり、されるときに感じます。

 

八嶋:

みんな欲しがってばっかで、アクションしてないなーって地元に根付いてやってくうちに思った。今まで何もアクション起こしてなかったのに、加賀市を盛り上げるために行政とかが動かすってなった途端に、めっちゃ参加してくるとか。チャンスってなった時に要望してきたりとか。ない中で連携することが大事なのに。奪い合いだよね。その時に、やっぱり教育って大事やなって思った。

リオを設立し、進んでいく中で地域の課題にぶつかっていくしょうきさん。最初思い描いたサッカーのゴールとは一見関係ない事をたくさんやってきました。その真意とは…

 

「遠回りこそ最大の近道」

 

河地:

当初思い描いていたゴールからちょっと外れた事業をやっていますよね。リオは、サッカーから始まり、体育スクール、学童、障がい者福祉、農業、健康食サービスというそれぞれの部分で課題解決に向けて想いを形にしてきたと思うんですけど、サッカーからはだいぶ離れてはいますよね。

八嶋:

サッカーから枝分かれしていったよね。最初こんなに他の分野でやるって思ってなかったけど。でも言葉として好きやった概念があって「遠回りこそ最大の近道」。サッカーだって、他から選手をセレクションして取ってきた方が強くなるし勝てるやん。でもそうじゃなくて、キッズから地に足ついて育ててく方が結果、自分の目的達成の近道。

何でもそうなんじゃないかなって思ってる。まちづくりでもそうで、例えば俺が市長なっても、そういう種の植え方育て方すると思う。この先4年間のできることと、その先の未来の、これから生まれてくる子どもたちに向けて何ができるかの逆算。市長なってないけど、勝手になった時のイメージするからね。(笑)

 

河地:

(笑)

「50年後に日本がW杯優勝するメンバーにリオから」っていう目標からは、傍から見たら全然ちゃうやんってことやってますもんね。

でも、方向性は向いてるし、柔軟に小ゴールをひとつづくクリアしていく感じですか?

 

八嶋:

例えばクラブW杯優勝してるクラブの街はどんなふうになってるか想像するわけやん。スタジアムを中心に街がこういうふうに盛り上がってて、教育はこうなっててとか。

スポーツ心理学では、やる気とは目標設定から始まるって定義されてて、そうだと思ってる。でも、やってくうちに関係ないことがイノベーションに繋がったりする。スティーブ・ジョブスの有名な「点と点が線に繋がる」っていうのは、つなげようとして勉強をする事もあるけど、それだけじゃなくて、意外に目の前のことをやってると、想定していないことに繋がる。こういうのは歴史とか過去の人たちから学べたりするから、何か形にした人の本はよく読んでて、思考と捉え方を意識してた。だから、自分の思考がサッカーだけじゃないなって変わった。

ちょうど、そういうタイミングで、市から、保育園から、中学校から、、困りごとお願いごとがよく来るようになる。それで出向いたときに「疑問」が浮かぶ。例えば福祉の現状も、子どもが狭いところで鍵かけられててとか…。こういうところに広々とした施設があったらいいよねーっていうのが会話から生まれてくる。頼まれごとは試されごとだから、できることはやりたいなって思った。食とか教育もそうで、学校行っても疑問点はいっぱいあって、「これは何とかしなきゃだな、スポーツだけじゃないな」ってなった。でも、普通みんなやらないよね。

 

「百姓になる」

 

河地:

出会いの中で、違和感、危機感が、ゴールからの最短ではないし時間はかかるけど、突き動かした。「加賀市のために」。

 

八嶋:

サッカーしてると色んな出会いがあって、様々な視点を得られる。サッカー馬鹿でサッカーでしか語れないより、いろんな経験してる方が、他の例えで話せたりするから子どもたちに関わるうえでも良いとおもう。

そもそも、食や農業の勉強をしていくと、昔の人って、多くのことが当たり前にできて、それが百姓の語源。

河地:

!!百の仕事ですよね。

 

八嶋:

だからリオも、百の満足百の感動、加賀百満足。百の言葉が昔からあるように、一つのことを極めるのもいいけど、色んな柱を持てることが日本人の特長。例えば俺はアルゼンチンで生まれたわけじゃないから、日本人に生まれた意味があると思うんだ。たくさんの経験、たくさんの挫折失敗を知った人が子どもに関わってほしいなって思う。

 

河地:

江戸時代の人たちや、自然と共に生きる人たちって、お金をもらう仕事だけじゃなくて、生きるために色んなことができると思うんですよ。コミュニティで、家族で協力しながら、家事、育児、料理、食べ物生産できたり獲れたり、、それって、お金によって子どもの頃から甘やかされてないから。生きる根本だと思います。僕が今その環境に放り込まれたら、できることめちゃくちゃ少ない(笑)

教師もコーチも、勉強だけ、サッカーだけだと、それだけしか物事を捉えられず教えられない。

 

八嶋:

どうしても狭くなっちゃうよね。先生がダメとかじゃなくて、在り方やね。仕組みを変えて、色んな事させればいいなって思う。でも、どうしても国が、答えを教える教育にしてしまった。近代的に、大量生産大量消費になってって。化学とかものづくりに経済がシフトして、教育自体が思考力より作業力を重視されてしまった。戦争に負けてなおさら、日本人の力が封じ込まれてきたからそうなったんやと思う。それに疑問を感じている人も増えてきている。学校の在り方はすぐに変化できないけど、塾やスポーツでそれができるからやってるところ増えてるよね。ほんとはそれを学校が、人間力や思考8割、知識2割とかにしてほしいよね。自分が興味あったり、探求したいものを選んで、それに熱中できるようなトライ&エラーをできる仕組みが良いよね。

 

河地:

だからしょうきさんは、高校を創りたかったり、教育界に何かできることをしたいなって思うわけですね。

僕のことでいうと最近農業に興味を持つようになって、それってやってみて人間の根本やし大事やなってなったり、自然に触れて土からエネルギーもらえるなって思ったからなんですよね。そういう感覚とか好奇心って子どもにあると思うんですよ。勉強だけじゃないいろんなことに触れる機会があればなあったらよかったなーって。これから増えればいいなーって思います。

 

八嶋:

そうだよね。だから日本のような先進国(既に先進国ではなくなってるけど)の課題に、発展途上国と呼ばれる国が同じ道をたどってほしくないなーって思う。

 

「知ったら選択できる」

 

河地:

今まで話してきても、リオはお金稼ぎのために事業をやるのではなく、自分たちのやりたいことや、社会課題を知ったうえで正しさの探求や、世のため人のためを想ってやることが多いですよね。

 

八嶋:

個人が何ができるか。どの分野で何していくか。正しい知識をシェアしていったら、知ったら選択できる。身近な人を巻き込んでいくことで個人が変わることが大切やと思うから。世界の課題に、苦しくなる必要はないから、現実的なこととやれることをやっていく。売れるから正しくないものも流通するわけやんか。国民が知れば、どんどん選ばれなくなる。江戸時代みたいに、現代からすると不便な世の中にちょっと戻ると、改善されるよね。

 

河地:

便利さやおいしさ、綺麗さ、安さだけが重視されていますもんね。

 

八嶋:

農業や酪農、漁業とかの仕事がカッコイイと思われるようになるといいよね。

 

河地:

僕はもうその気持ち強いです。(笑)めっちゃかっこいい。自然を相手にできたり、食べ物生産できるのってまじでカッコええなって思ってます。

 

八嶋:

いつきの話を聞いてても思うけど、そういうのを子ども時代に知りたいよね。お金の知識とかね。教育の大事なところ抜かれてるよね。

習うことすべてに全部接点がないからね。

 

「子どもの感覚を忘れたくない」

河地:

ここまでいろいろ話してきました。これからフルピッチのサッカースタジアムや、観光事業もやっていくとのことですけど、
加賀躍進のために、そしてW杯優勝に向けて、進んでいくんですね。

 

八嶋:

いつになるんだろうね。方向性、「こんな感じを目指して」は示して走りたい。ワンピースやキングダムもそうだよね。目的や計画通りに行くかはわからいけど、みんなで進んでいく。

でも、想ったコトは全部実現するんだよね。怖いことに。たぶんみんなできるんだよ。途中で逃げ出したり、諦めるだけで。何者にでもなれるよ。子どもの感覚を常に忘れたくない。子どもみたいな人だねって言われる人で在りたい。子どもこそ最強やから。(笑)

これめっちゃ思うのが、子どもと関わってて良かったなって思う。解放されてるし、リオの場所でパワーを放ってる子たちは多いと思う。リオはいろんな人の充電できるパワースポットで在りたいね。充電できれば、人は元気でいられる。ここには気がある。

河地:

原動力はなんですか。今世は頑張って来世はご褒美っていう言葉を昴旺輝さんから聞きましたけど。(笑)

 

八嶋:

人生は暇つぶし感覚なのと、何かを成し遂げたいって思うのと両方を大切にして今を生きているね。今変なことしたら、来世の八嶋昴旺輝が困るから。(笑)

 

壮大なビジョンと、正しい知識で、エネルギッシュに加賀から世界へ、世界から加賀へ、サッカーから始まったストーリー。100の事業創造を目指すしょうきさん。そのリオの周りに、スタッフをはじめ、選手や子ども、保護者、地域の人などたくさんの人が関わり、充電され、幸せや笑顔が生まれる。子どもの心で、力強く進むリオペードラ加賀のこれからの躍進に目が離せません!

 

インタビュアー、記事:河地一樹

インタビュー:八嶋昴旺輝